AIに仕事を任せたその後、僕らは肉の壁になる。
近年騒がれている『仕事をAIに奪われる』事案。
僕がバイトしている場所でも人件費削減の為にセルフレジが導入され始めた。
しかしだからこそ"人間にしか出来ない仕事"が見えてきた。
日本独自の文化として『お客様は神様である』という概念がある。
そして対を為す様にクレーマーという存在がある。
セルフレジで溜まったフラストレーションはレジに居る僕ら"人間"にそっくりそのままぶつけられる。
機械に文句は通じない。それくらいはどんな機械音痴でも時代遅れの奴でも解っている。文句を言ってすっきりする為に必要なのは人間という『肉の壁』に他ならない。
人間にしか出来ない事。人間が求める人間の職業。
それこそがクレーム処理を始めとする理不尽な愚痴聞き役なのだと思う。
占い、人生相談、サポートセンター、そしてレジカウンター等の即対応出来る人員。
加えてAIのサポートとしても理不尽への対応が求められる。
例えば『不要なレシートを捨てる所』にレシート以外を捨てる人間は多い。それどころか紙以外のゴミ、ゴミじゃない物を捨てられている事だってある。
それらを分別するのは想定外という理不尽に振り回される事が出来る人間にしか勤まらない。
中身が微妙に残ったままの缶チューハイや寒さ凌ぎに入って来たまま寝てしまうホームレス。
まぁAIの対応としてはどっちもゴミとして捨てればOKなんだろうが、そうすると片方の場合店の評判は落ちること間違いなしである。
多分人間に残される最後の仕事は人間の処理なのだと思う。
AIに世界を牛耳られて家畜同然に飼育される存在になろうとも、人間という愚かな存在の対応はきっと人間にしか出来ない"仕事"であり続ける。