遅すぎたハズキルーペ
僕は小さい頃から本の虫と呼ばれる人間だった。
ちなみに好きな文章は成分表である。
しかしここ数年めっきり文章ーーー特に小説を読まなくなってしまった。
それにはきちんとした理由がある。
乱視が強くなり、それに伴い左右の差も広がり、体調や時間帯による違いも増えたせいで小さな字を読むと目眩がするようになってしまったのだ。
勿論眼鏡で矯正はしている。それでも差異が酷ければレンズは合わない。
加えて緑内障と飛蚊症も相まって何なら洋ゲーの字幕が読めない時もある。
最初は原因が分からず、唐突に重症になる目眩を避けている内に自然と小説から離れてしまっていた。(元々目眩持ち)
それでも何度も挑戦したり日常生活での違和感を突き詰めていった結果乱視が原因だと分かった。
見えている筈の物が読めない。活字中毒には致命的なダメージである。
そんな時ふとCMの『ハズキルーペ』を思い出した。
小さい文字が二重になって読めないのであれば、文字そのものを大きくしてしまえば良いのでは?
単純な思考である。
そして勿論現実はそう甘くはなかった。
何となく敬遠し始めて既に一年半が経過していた自分には、読書に対する警戒意識が高まり過ぎていた。
読むと気持ち悪くなる。それを繰り返して体が学習してしまったのである。
もう少し早い段階で気付いてハズキルーペを使っていたらなぁ。と本気でそう思う。
あと定期検診をサボっている自分に「いいから眼科に行け」と言いたい。
ほぼ一日潰れるから検査嫌なんだよな……。眼底検査も視野検査も。
あの『強制的に瞳孔を開く薬』がもう少し即効かつ短期だったら半日くらいで終わるんだろうけども。
緑内障は遅延療法しか無いからどのみち見えなくなるっていう諦めもでかい。重度の不眠症で睡眠薬浸けになってて、その薬と遅延の為の薬が喧嘩しかしないのもあるし。
早く死なせてくれー。